著作権は、永続的な権利ではなく、保護期間の満了によって消滅します。
著作権が有限とされているのは、著作者の独占的利用を一定期間保護した後は、著作物を公共に広く利用させて文化の発展に寄与することができるようバランスを図るためです。そこで、保護期間が満了した場合、誰もが自由に使用できることになります。
もっとも、保護期間の満了で消滅するのは財産権としての著作権に限られます。
著作者人格権については、一身専属的な権利であり死亡によって消滅しますが、死後でも著作者人格権の侵害となることがあるためです。
原則として死後50年まで
著作権の保護は、著作物の創作の時から始まり、著作者の「死後50年」を経過するまで保護されることになっています。
これが原則ですが、「死亡」を基準とできない場合は、「公表後50年」保護されることになっています。
これに該当するのが、団体名義の著作物です。
また、著作者を特定できない場合として、名前を出さない「無名」や、実名ではない「変名」の場合も該当します。
変名でも世間で周知されている場合には、著作者を特定できますから、原則とおり、「死後50年」保護されます。
これらの著作権の保護期間は、著作物ごとに個別に起算するのではなく、単純明快にするため、公表ないし著作者の死亡があった日の属する年の翌年の1月1日から起算することになっています。
ただし、映画については特殊です。映画の著作権は、平成15年(2003年)著作権法改正によって、保護期間が50年から「公表後70年間」に延長されることになりました(創作後70年以内に公表されなかったものについては創作後70年)。
外国の著作物の場合
では、外国の著作物の保護期間は、日本ではどうなるのでしょうか?この点、著作物の本国(外国)での保護期間が、日本で定める保護期間より短い場合は、その本国(外国)の保護期間しか保護されないとされています。
例えば、本国(外国)での保護期間が25年であれば、日本法では保護期間が50年とされていても日本では25年しか保護されません。
本国と同じ保護期間があれば足りるということです。
また、外国の著作物について、我が国における保護期間を計算する場合、「戦時加算」に注意する必要があります。
戦時加算は、サンフランシスコ平和条約で定められた制度で、太平洋戦争期間中は著作権侵害について十分に保護されていなかったために加算されるものです。
具体的には、連合国民が第二次世界大戦前または大戦中に取得した著作権については、通常の保護期間に、太平洋戦争の開始時から、当該連合国との間に平和条約が効力を生じた日の前日までの日数が、保護期間に加算されます。
平和条約の発効が基準となりますので、国毎に加算される日数が違うことに注意する必要があります。
今後の動向
今後、TPPが発効すれば、著作権の保護期間は、著作者の死後70年に延長されることになるでしょう。
ただし、著作権の保護期間の延長は、国際条約に基づき定められている戦時加算の問題とは別の問題とされ、戦時加算が当然に外れるわけではありません。