あるプログラムの著作権侵害事件

弁護士知財ネットに、プログラムの営業秘密性に関する記事が公開されました。

 

記事のなかで、プログラムがコピーされた場合、不正競争防止法上の営業秘密の侵害が問題になるほか、著作権侵害が問題となることに言及しています。

 

記事のなかで当時扱った事件に言及していますが、これは、ゲームのプログラムがコピーされた著作権侵害事件の被害者側(原告側)の事件でした。プログラムの著作権侵害事件では、まず、何が著作物であるかを特定し、さらに、相手のプログラムが原告のプログラムを侵害していることを主張しなければなりません。

 

依頼者側のプログラムはソースコードで特定できるのですが、相手の会社のソースコードは、仮に存在していたとしても、入手できません。そこで、この事件では、著作物をマシン語で特定し、複製かどうかをマシン語で比較する、という作業が必要になりました(大変です・・・)。訴訟が始まってからソースコードを出すように求めても、結局、被告はソースコードを最後まで出してきませんでした。

 

その対応だけで、被告はプログラムを違法コピーしていたのでは?という怪しさ満点なのですが、それだけでは裁判所は侵害と認めてくれません。そこで、面倒なプログラムの解説が必要になり、審理に時間がかかっていました。

 

そのうち、その事件の被告は、原告側を不当訴訟で訴えてきました。侵害を主張した側を、不当訴訟(不法行為)や虚偽事実の告知流布(不正競争防止法違反)で訴えるケースはよくあるのですが、その事件は、別の裁判所に、訴えを提起してきました。

 

ところが、その別の裁判所に、侵害を認定されてしまい、その結果、著作権侵害事件のほうは原告側の勝訴的和解で終わりました。相手の痛恨の積極ミスなのですが、他山の石とすべき事件でした。